[歴史][事件事故] 安政の大獄(3)−5 徳川幕府の鉄槌下る

じゃぶじゃぶの金融漬けや急激な円安の進行で安倍総理の云う景気回復が実現するのでしょうか、腹痛が再発する前にせめてTPP妥結実現だけでも置き土産にしてくださいまし…   一方、野党民主党では季節はずれの「啓蟄」現象がおきて、民主党政権を潰した面々が地上にゴソゴソ首を出して気配を覗っております。 疲弊矮小化した民主党内は赤軍派セクト紛いの覇権争いの再現劇場でしょう…ま、税食い虫の茶番ですが!…などと発散、悪しからず……
徳川斉昭(烈公) photo 不明 wikipedia

すっきりしたところで…水戸斉昭を軸に幕府へ数々の謀反行動が公然化しますが、水戸斉昭一統は江戸城不時登城と幕府御政道批判の科で登城停止から断罪はエスカレートし徳川斉昭(前水戸藩主)、徳川慶恕(尾張藩主)、徳川慶篤(水戸藩主)、松平春嶽福井藩主)らは隠居や謹慎が科され中心人物水戸斉昭は国許にて永蟄居の重禁固刑になります。
更に誘発的な事件が勃発し世に云う『戊午(ぼご)の密勅』です。安政5年(1858)8月8日に孝明天皇から水戸藩へ送られたもので、この時期朝廷も未曾有の激動期を迎え、この勅書は正規のルート関白九条尚忠の裁可を故意に避け密かに京都水戸藩邸に渡ったのもです。事件はかなり謀略化した手法が弄され幕府の関知を避け、水戸藩に直接届けられて更に尊王藩主には伝わり、幕府には各藩周知後に伝えられる仕組みでした。
朝廷が将軍臣下である各藩主に直接指示命令を与える事態が発生し武家覇権の根幹をなす幕府威信の失墜が画策されていたのです。
水戸藩に宛てたこの勅書の概略は……幕府が勅許を得ずに日米修好通商条約締結した責と説明、攘夷と公武合体の遂行を各藩主に周知させる事などでした。……
またこの間、水戸藩家老安島帯刀と水戸藩家臣鵜飼吉左衛門の書簡内容が発覚し井伊直弼暗殺と彦根城落城計画などが伝聞とされています。
……遂に幕府法制諸法度の原理主義大老井伊直弼による大鉄槌は下されました。 京都で朝廷工作など暗躍していた志士など小浜藩儒学者梅田雲浜の捕縛に始まり各藩家臣、公家、大名にまで及ぶ大粛清が始まったのですが、武家のみならず皇族公家も例外でなく、明らかに幕府の禁裏法制、武家法度の基準が明白ですが後水尾天皇紫衣事件と比べ直接孝明天皇には及んでおりません……。
安政の大獄で断罪された一橋慶喜(15代将軍)に科せられた「隠居慎」の実態とは……<最後の将軍 司馬遼太郎 文春文庫>より
……隠居慎という刑は、屋敷全体を牢にするという意味にひとしい。諸門は、閉ざしたままである。慶喜自身は居室で謹慎し、その雨戸はとざされ、わずかに隙間を五、六センチあけて日光をさし入れる。
月代を剃ることも不可である。 「長髪にてござあそばさるべし」という幕命のただし書きがある。自然、髪は、市中不如意の浪人体になる。 平素ならば家来どもが、毎朝次室や廊下にきて御機嫌伺いをするのだが、それも厳禁された。 むろん家来どもが外部と接触交通することも停止であり、たとえ地震がおこっても江戸城へ御見舞いの使者を出すことさえ禁止事項の一つである。
慶喜は二六時中、雨戸の締まった居室にいる。慎という以上、麻裃を着用していた。 端座し、ひたすら読書するしかない。 話し相手さえなかった。気に入りの平岡円四郎までがこの大獄に連座し、御役御免差控という刑に処せられていた……。
慶喜の謹慎処分は桜田門外の変井伊直弼が討ち取られた二年後の文久二年四月二十五日に解かれました。 この一連の騒動の中心人物水戸藩徳川斉昭桜田門外の変以後の万延元年(1860年)8月15日、蟄居処分が解けぬまま心筋梗塞により没、60歳
《主たる処分者》その他多数。
死刑・獄死者
吉田松陰………長州毛利大膳家臣、斬罪
橋本左内………越前松平慶永家臣、斬罪
頼三樹三郎……京都町儒者、斬罪
安島帯刀………水戸藩家老、切腹
鵜飼吉左衛門水戸藩家臣、斬罪
鵜飼幸吉………水戸藩家臣、獄門
茅根伊予之介…水戸藩士、斬罪
梅田雲浜………小浜藩士、獄死
飯泉喜内………元土浦藩士・三条家家来、斬罪
日下部伊三治…薩摩藩士、獄死

永蟄居
徳川斉昭………前水戸藩

隠居・謹慎
一橋慶喜………一橋徳川家当主
徳川慶篤………水戸藩主(9月30日に免除)
徳川慶勝………尾張藩
松平春嶽………福井藩
伊達宗城………宇和島藩
山内容堂………土佐藩
堀田正睦………佐倉藩
太田資始………前掛川藩主

朝廷の処分者
尊融入道親王……青蓮院門主、隠居・慎・永蟄居
一条忠香…………内大臣、慎十日
近衛忠煕…………左大臣、辞官・落飾
鷹司輔煕…………右大臣、辞官・落飾・慎
鷹司政通…………前関白、隠居・落飾・慎
三条実万…………前内大臣、隠居・落飾・慎
二条斉敬…………権大納言、慎十日
近衛忠房…………権大納言、慎
広橋光成…………前権大納言、慎
万里小路正房……前権大納言、慎三十日
正親町三条実愛…権中納言、慎十日
久我建通…………右大将、慎

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安政の大獄
(5) 冥界小塚原刑場と松陰神社の経緯
(4) 小伝馬町牢の露と消える
(3) 徳川幕府の鉄槌下る
(2) 水戸藩徳川斉昭の画策と将軍継嗣争い
(1) 桜田門外事件起因と過程