[時事] 農業と農地法(8)−8 日本農業と中身の結末

今回のTPP加盟の大筋合意を受けて早速政府自民党は農業者補償と云う補助金のバラ撒きを公言しておりますが、何も驚く事はなく、過って、自民政権凋落の地方選挙区惨敗のショック体験の再来は真っ平御免なのでしょう。……
さて、今回迄、私の散歩時目撃した農地に関する「はてな?」……”数年来、入念に耕されても農産物が植えられない農地”……”見渡す限りの大圃場の真ん中の耕作放棄地群”……”農地に出現する廃棄物、残土の山”……”農地が駐車場に又農地に転換”…などの謎解きを元に、いわゆる農業実態を知らない素人の結論ですが、永年直接税、間接税を負担している一納税者の視点でもあります。……

歯止めの効かない日本農業衰退は農業関係の法規不備に在るのではなく、運用マターにあり、農業界の我利我利体質へ政治家の介入で自治体農政が手放し放任状態となっております。たまたま、Web上に公開されていた…農林水産省の『農地政策をめぐる事情』…資料3−1…平成19年1月…には既に昭和から平成に掛けて、…今日云われる農業発展への問題点…農地の集約化、営農規模の拡大、法人参入、農地譲渡、賃貸リースなどの法改正は既に行われて居るのです。が…頭脳明晰な官僚は……可能にした……明確にした……容認した……要件緩和した……改正を行った……実施する事にしている……促進する……推進した……創設した。と文言を一見すると納得するのですが、運用面の実効性はまるで脱落し、政治家に影響される地方自治体、更に農地法、農業関連案件の決定的運用当事者である市町村の「農業委員会」の抵抗パワーの認識が欠落しています。

それでは、農水省の法規改定とは真逆の指向にある農業者のマジョリティー…小規模農地の自作農で在る「第2種兼業農家」…「収入主体である本業(会社員や土建業などを含む)を持ち、農業を兼業としている農家」の農業目的が農産物生産とは云い難く、本旨は農地の投機的転売、その指向は株式投資家に似ているのです。
日本国の稲作農業は国際価格の約6倍の高米価で買い上げられ、更に各種補助金も上乗せされ、所有農地(株券)の税金は宅地が1平方メートル約3万5000円……一般農地は30〜100円……簡単計算で1/300〜1/1000…(2014全国平均)なので”政府による超高配当が保障された超優良株式の様なものです。…この金の成る木”を大切に保持し、更に高額売り抜けチャンスを掴む事が営農の目的と化しているように見えてまいります。 ま、一般的には都市近郊農地の思惑ですが、国により道路、水路が整備された平坦な地方大規模圃場などは辺鄙な場所といえども工業団地、ショッピングセンター、物流倉庫と大きなチャンスがあり、モータリゼーションが農村の実態生活を変えているのです。
……この話はあくまでも色々な記述からの集大成に過ぎず、真摯に営農に携わる方々を傷つける結果になると思いますが、政治の格好の票田と化した農業の中身の一端であると私は考えております。 しかし、政治家の票田、政治利権の対象である稲作農業などは「レトリック」されたキャンペンが通用し国民の負担を強要しております。……飢餓を平然と口にした食料安全保障政策や農家の「生活保障」と称する欺瞞政策として高米価、休耕補償、税金軽減などがあます。……そもそも稲作農家の8割を占める第2種兼業農家は本来小規模農地の所有者で自立営農に適さず他に本業があるのです。しかし本業と農業を合算した経済力は一般勤労者の平均を凌駕する収入を得ております。……稲作農家の生活保障などとキャンペンは、…あたかも母子家庭や生活困窮家庭をイメージさせる悪質なすり替えです。
もし、農業への政治利権隔離が仮に出来れば……稲作農業への補助金バラ撒きと逆転した農政の確立が必要になるでしょう……その根幹とは農業者へ直接的な農業補助金支出に改める事で、国際価格差の縮小、将来展望と擬態農家の淘汰が出来る筈です。更に必然は正常な農政(法律)執行を妨げる市区町村「農業委員会」の廃止があります。
具体的には……「高米価維持政策」と「生産調整」の撤廃など基本政策の改正を実行しますと、休耕、転作その他生産制限に関る莫大な補償金が不必要になります。併せて偽装転用農地、耕作放棄地などへの正規課税の実施です。
では以上の政策の検証です……正確な実需要と過剰生産米の割合が判明し、当然過剰な農地も算出され、需給の実態を表す低米価が発生します。
ここからが”さわり”です、先ず……現在補償の高米価と新政策後の実態米価の差額の補償金を各農家の生産量に応じて直接支給します。この直接支給により違法転用農地と耕作放棄地の詳細が把握されます。補償金も受け取れず、高額課税される、これら農地は賃貸、譲渡などへ逃げて農地の流動化の端緒となり、近代経営を目指す専業農家篤農家、新規参入者、法人企業の農地拡大集約の道が開け、結果として生産性向上による産米コスト低下と品質向上が加速され、現在の高米価で始まった補償基準米価も年々低下し、徐々に進展させれば稲作農家の八割を占める第2種兼業農家に変化が生じます…小規模農家のネックは…年々進行する生産性向上は米価補償額の低額化の加速を招きます。……米の自作を諦め農地の賃貸、売却をするか、又は農業の展望に将来をかけ集約、品質向上を目指す篤農家の道を選ぶ人達に分かれるでしょう。
当初の過剰生産米は飼料、工業材料等に国の負担で流用し、将来的には経済の原理に従い稲作者自身が需給バランスを勘案した産米計画や、更なる低コスト、高品質、有機栽培など一般産業並みの創意工夫で輸出指向、あるいは更に有利な農産品に転作など、……我が国の農業技術と学術研究は優れているのですから、……一定の国の補償を梃子にして自立産業の道を指向します。
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《農業と農地法
(8) 日本農業と中身の結末
(7) 日本農業の誤魔化し
(6) 日本農業の中身を知ろう
(5) ボタンの掛け違いは農地解放
(4) 無責任農業政策の相関
(3) 日本国の飢餓(きが)て、なんだ!
(2) 日本国の農地法ってなんだ?
(1) 世襲立国 大日本農業帝国