[歴史] 昭和は日々に疎し(3)−7 敗戦後の生活と経済

近頃好く話題になる話ですが、…先刻食べた昼御飯をすっかり忘れ、”お昼はまだかい”と催促する高齢者様でも…子供の時代の出来事を手に取るように詳細に覚えている不思議な現象があります。
今回は私が旧制中学生時代の大日本帝国の無条件降伏の直後からアメリカ軍占領下の日本国民の体験した生活実態を記憶に任せて”したため”たいと思います。…ま…高齢者の話と、笑ってはいけません?…上記の例もある事ですから!…
(注)以下、経済の論理論点に基ずかない感想述懐です。悪しからず……

敗戦以前の戦時中は経済の原則「入るを量りて出ずるを為す」は完全に破綻し戦時国債と称し日銀引き受けと云う裏付けのない紙幣を乱発して戦費調達を強行したのです。…即ち必要財源は日銀に紙幣を印刷させ戦争を遂行し国の借金拡大策でした。
……なぜか、戦時中の日本帝国の財務に酷似した、現政権安倍、日銀黒田のコンビの曖昧金融政策では……日銀引き受け云々……と云う乱発国債の国家借金拡大手法です。……但しユニーク?な発想、インフレ誘導政策とは…「インフレが好景気をもたらす」などと逆転、錯覚ロジックを信じて?、いる様です、好景気時の旺盛な需要で起るアンバランスのインフレを取り違え…丁度子供が上着を前後ろ間違えて着込んだ様な姿を曝しております。…更に心配なのはアメリカのトランプ新大統領が日本の為替操作と言及を始めており、安倍黒田の曖昧コンビの日本国の行方へは?……

戻ります……敗戦以前でも軍需協力者や勤労者、陸海軍には対価、報酬、給料の支給は保証されていましたが、既に食料、衣料を初め生活用品さへ払底し配給という最低保証も頼れない状態は国民の得た賃金、収入の行方は、総て貯蓄以外に行き場がないのです。即ち統制経済下の需給バランスが存在しない社会にはインフレーションは実感できないわけです。 但し、少量の陸海軍補給組織の横流し物資と軍需成金という限られたコネクションでは配給価格の基準を無視した取引が存在し、当時の官庁記録には一般社会に実在しないインフレ指数として記載はされておりますが。
……軍国主義者の起こした日本の戦争も世界から糾弾され敗戦無条件降伏で決着しました。…が、空襲で国土中枢は焦土と化し、飢餓に苦しんだ社会は敗戦直後から一転、 都市盛り場には忽然と闇市が全国各地に成立します。結果、無い筈の食料、生活用品が闇市に並び始めますと、総ての人々は有り余る貯金をおろし、必至に闇物資購入に走り闇市場は拡大の一途でした。が、最大のネックは供給される物資は軍隠匿物資や農家の隠蔽食料に限られ、戦後1〜2年は食糧危機とインフレのダブルパンチで国民が苦労した時代でした。
更に日銀引き受けと云う只の印刷紙幣は、敗戦により軍需協力企業者への一括支払い、復員軍人、引揚者などへ支出でインフレ率は幾何級数的に上昇し、一挙に紙幣の購買力は低下したのです。では当時のハイパーインフレの脅威を数字にしますと、……敗戦の年
昭和20年(1945)1 倍 を基準とした各年のインフレ倍率推移の表示。
昭和21年(1946)1.6 倍  
昭和22年(1947)10 倍
昭和23年(1948)32 倍
昭和24年(1949)73.6 倍
昭和25年(1950)88.3 倍
昭和26年(1951)114.8 倍     (指数は便宜上の概算です)

例えば昭和20年の1万円が6年後の昭和26年には87円の購買力しかありません。
……では、この戦後ハイパーインフレーションを招いた、…裏付けのない紙幣を印刷して国が使う、いわゆる日銀引き受けの膨大な国の借金を誰が肩代わりして支払い、負担をしたのでしょうか?…赤ちゃんから老人までの日本国民の財産に政府が手を突っ込み解消したのです。………現代感覚の自由経済を信頼している方には、その時々の時勢に合せて何かに換金したり、外国に逃避させたりとか、昔の話は話として、聞いている程度かと思いますが、……臨場感のない机上の考え、丁度過去の株価のカーブを見て簡単に儲けられる錯覚と同じ事です。
……米軍本土上陸、一億玉砕、私達少年はタコ壷(一人用壕)に隠れ、米軍戦車に火薬入り竹筒を抱えて飛び込む特攻攻撃を平然と提案されていた時代です!…金の延べ棒も価値を発生出来ない世情が在ったのです。……
更に国家と云う権力機構が握る法治制度は両刃の剣、逃げ道など簡単に法規制出来るのです。
さて………それでは、政府が国の負債を一挙に軽減できる方法の第一番は「ハイパーインフレ」を放置するだけです。……もう御気付きと思いますが、簡単な例えですが100億ドルの負債でも2倍のインフレになれば実質50億ドルに減額してしまう理屈です。反面、国民の貯蓄は実質半減してしまった事になります。
ここで再び現在の安倍黒田コンビは財政規律の建て直しにも失敗している現状から、インフレ誘導政策の好景気招来策の破綻のカバーとして次善策が…インフレに頼り、日本国の借金1053兆円の自動的減額という国民負担を狙っているのではないのか?、真意は不明……
…敗戦後、国の負債を国民に転化した政府の手の込んだ具体施策は次回で……
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《昭和は日々に疎し》(7)−7 歴史は繰り返す。財産税法とナンバー制度   
(6)−7 財産税法(新円発行、預金封鎖)社会へのリアクション
(5)−7 敗戦後の 国民を裸にした…新円、預金封鎖、財産税法、   
(4)−7 敗戦後の生活、新円発行と銀行預金の封鎖で…
(3)−7 敗戦後の生活と経済
(2)−7 昭和は日々に疎し 家庭の生活
(1)−7 日本国と覚せい剤