[地域][天災] 東京都市災害(5)−6 荒川大規模水害東京地区の想定データ
前回に引き続き国交省荒川下流河川事務所の荒川知水館の展示から地球温暖化の異常気象や地震など自然災害に伴う洪水誘発に関する詳細データが展示され被害発生メカニズムが解明されております。展示スペースの大半を占める事からも世界温暖化の弊害「異常気象」の必然的、突発的事態の示唆、警告を意味しております。……
…敗戦後のお生れで「戦争を知らない子供達」に属した安倍総理大臣閣下の戦前回帰の思想は何かが抜けた恐怖を感じますが、総理大臣閣下の意に反して戦後69年間、平和指向の日本国は焼け野原東京が世界有数の機能都市として繁栄しております。 その代表的地下鉄網は前回話が出ましたように荒川堤防溢水、決壊で5m程度の洪水10分後には地下鉄路線に流入、網の目の如く連結した地下鉄網147km、17路線、97駅は全没あるいは浸水となります。都心部丘陵地帯の霞ヶ関、六本木、赤坂なども地表の洪水なしでも路線内には浸水が起ります。
《地下鉄路線浸水想定図》(パンフレット「事業所の水害対策」…荒川下流河川事務所)
赤色…満管(全没) 薄茶色…水深2m以上 薄桃色…水深5cm以上
注)このブログ記述は荒川知水館見学の概要に過ぎません、正確な情報は国交省関東地方整備局 荒川下流河川事務所への照会か資料等の再確認を御願いたします。 ……http://www.ktr.mlit.go.jp/arage/index.html
次は荒川流域3日間の総雨量548mmで堤防決壊洪水時の荒川下流域低地氾濫の被害シュミレーションで3タイプのモデルに分類されております。
●荒川左岸低地氾濫…(荒川赤羽岩淵水門附近の川口市側の堤防溢水、決壊による)
荒川左岸の低地部に沿って発生する氾濫で、中小河川の堤防を境として、上流側では深く浸水し、下流側では浸水しない場合が想定されます。水門、揚水ポンプが作動出来れば1週間程度で浸水による孤立は解消される。
●荒川右岸低地氾濫…(荒川赤羽岩淵水門附近東京都側の堤防溢水、決壊による)
入間川合流地点(赤羽岩淵)から江東デルタまでの区間で発生する氾濫です。丸の内や新橋附近まで浸水する場合が想定される。水門、揚水ポンプが作動出来れば4週間以内に浸水による孤立は解消される。
●江東デルタ貯留型氾濫…(荒川右岸の堀切鐘ケ淵附近の堤防溢水、決壊による)
江東ゼロメートル地帯が浸水し滞水する。一旦浸水した場合にはポンプによる排水が必要とされ水門、揚水ポンプが作動出来れば1週間程度で浸水による孤立は解消される。
氾濫による被害想定
(パンフレット「事業所の水害対策」…荒川下流河川事務所)
避難率を40%とした場合荒川左岸低地氾濫で最大孤立者(要救助者)は49万人、右岸低地氾濫で約51万人、そして江東デルタ貯留型氾濫で最大死者数約2100人にのぼると想定されています。
図…東京都建設局河川部 (パンフレット…荒川ロックゲート…荒川下流河川事務所)
地盤沈下と洪水時の実態
地下水汲み上げなどを原因とする地盤沈下は東京下町全般に及び、4,5m以上沈下も稀ではなく、いわゆる東京湾の海面より低いゼロメートル地帯となっております。 洪水、さらに地震などの堤防、水門破壊時の被害は甚大で浸水した洪水、海水などは滞留、最悪は孤立した海中都市の様相も考えられます。
上図が示す如く現在の隅田川、荒川、江戸川その他河川も天井川の様相を示しており特に荒川堤防は周辺地表面より10mの高さの場所もあります。 ……前へ戻る… ……次回へ続く…
《東京都市災害》
(6) 日本堤はお江戸の防災拠点
(5) 荒川大規模水害東京地区の想定データ
(4) 東京大洪水と荒川、隅田川
(3) 海中都市東京
(2) 江戸東京の災害
(1) 東京災害と空襲