[地域][経済] 千葉県銚子市 (4)−4 来訪者の見た銚子の再興は?

銚子の街を歩いて人が少ないのに気が付きます。 なにも立派な建物がなくても、人が居る事で活気が街の雰囲気を高めるのですが。 
当地にも平成17年頃までは十字屋デパートがありましたが、すでに廃業して現在は旧市街に大規模商業施設は皆無で、私達の云うスーパーすら見掛けません。
市街地の極端な人口減少があります。 以前は漁業関係者の多い街筋も建て込んだ町の佇まいだけが同じです。 茨城県鹿島に大工業団地が出現して、安定した雇用を求め利根川対岸の豊な神栖市に人口流出の結果なのか?、…銚子には江戸以来の伝統産業の醤油醸造業があり、有名ブランドのヤマサ、ヒゲタの二社は盛業中ですが現代は装置産業と云える業態で多分二社併せても千名を越える雇用はないでしょう。……
    
やはり最後は日本一の水揚げ量を誇る水産業になりますが、これも昔のように小型船で人海戦術の漁撈は廃れ、資本集約型漁業で大型船の寡占化と省力漁撈機械を駆使で漁船員も激減しました。 水揚げ総量に占める地元漁船は廻船(他県船)より多いとは云えないのです。 大量の水揚げ魚類を引き受ける水産加工業は第2第3魚市場周辺に多数の中小工場が存在しますが、実態は豊不漁、漁期、魚種など不安定要素を抱え、低賃金のパートタイマーの雇用に頼る業界でした。 この不安定低賃金雇用の解決策が外国人技術研修生と云う制度を利用し、一千名以上の移住外国人男女の若年労働者が銚子の水産加工業を支えているのです。
安定した職のないところから人口流出は必然なのか!、銚子の顔、水産業も市の屋台骨を支える力さえ無いようです。 市の人口は辛うじて7万人、急激な人口減は…『この地域で食って生活していくことを悲観せざるを得ない情況に危機感を抱いている』と銚子市長は述べております。……
…私が観察した銚子市とは先ず地理的に2分され従来の利根川畔に展開する市街中枢地域や商業、水産業地域に対して西部の丘陵に展開する農業地帯が存在し、キャベツ、メロンの栽培で知名度があり、また住宅街も混在し利根川河畔の旧市街地域とは区分された環境です。一方旧市街は江戸以来の繁忙は昔の話で利根川沿でヒンターランドの存在しない商店街は集客力を失い、元漁業関係者の街が取り残されて、観音下の路地裏は漁船員の歓楽街(赤線地帯など)でしたが廃墟空き地ばかりのショッキングな風景でした。 銚子市住民を乱暴に区分すれば居住地帯によって国政が反影されているのです。…先ず丘陵地帯は国の農業政策の庇護を受けた農業者の地帯、一方旧市街は商工業者、漁業関係者(漁船員、漁船の電気、無線、機械、パッテリー、船具、漁業用具その他の販売修理業、シップチャンドラー)など現代に取り残され、農業者に対比して国から冷遇された人々の街と云えます。
銚子市凋落の発信は市立病院存続問題に次いで十字屋デパート閉店、市営国民宿舎閉鎖、銚子電鉄経営危機、3.11地震で第一魚市場の被害閉鎖などあり、昨年は観光事業の不振で犬吠崎の大ホテル磯屋の閉鎖、京成ホテルの売却など深刻な事態です。……
では銚子の将来は在るのか?、…先ずは銚子の宝は昔も今も水産業、幸い特定第三種漁港という国の支援があり、日本列島中南部唯一の最東端の地理的優位と相まって全国漁港から近海漁船の集まるハブ漁業基地化を目指し…せめて修理船の上架設備の新設など多様なサービスの創意工夫が必要でしょう。…地域振興とは漁船主と同じ事、創意努力投資で差別化の優勝劣敗かも知れません。
…また乱獲を防ぎ資源保護を図れば将来も託せる大漁場があります。水産加工を利の厚い産業に転化が一番の早道でしょう。……大量水揚される銚子特産の青魚(鯖、鰯類)は食事の洋風化による健康面に貴重な食品です。この原料で画期的な新商品開発があります。漁撈会社から加工食品に転進した日水、マルハその他の高度開発力を利用し大手工場を誘致して原料の安定納入と市民の雇用から初める。…『言うは易く行なうは難し』か…、しかしロケーションと地名銚子には全国的知名度があります。上手に発信すれば銚子ブランドは経済価値に換算出来る筈です。 ……今の銚子には江戸時代移住した紀州漁民のような進取の気風がなく、恐らく地域主義者で発展改革を知らない旦那衆ばかりが残り保守化の悪循環なのでは?、それにつけても地価が高止まりしている不思議や自治体内の政治葛藤が目に余ります。
閉塞感打破には…、グローバル化が常識のご時世です。回帰主義を捨て大企業やベンチャーなど、広く挑戦する気概の在る企業や白黒黄色を選ばず各界の逸材を積極的に取り込む工夫が必要なのでは?、……おわり…   ……前回へ戻る

《千葉県銚子市
(4) 来訪者の見た銚子の再興は?
(3) 漁港外港、ポートタワー、ウオッセ
(2) 漁業の現況は、
(1) 銚子の由来