[敗戦][風俗] 消え去った職業 (４)−７ 占領米軍時代と青線etc 。
空襲による焦土と極度の食糧難に苛まれた東京の敗戦後は駐留米軍の第一騎兵師団、第８軍のＧＩや築地の魚河岸岸壁にはＬＣから満載した水兵が上陸して銀座４丁目などはアメリカが溢れておりました。
抑圧され、蚤虱は当たり前、栄養失調の私達戦時少年の目には、そのスマート、清潔、屈託の無い姿は、次元の違う世界の存在に驚かされたのです。
U.S.Army 第一騎兵師団 第８軍
この衝撃的なアメリカの印象とはチュウインガム、チョコレートバー、タバコなど豊富な物資や包装のカラフルで美しいのに驚き、私達にはＧＩの軍服すらプレスされ清潔、上等な生地に見えたものです。…
すみません！ しばらく脱線です。高齢者の悪いとこ、自分の都合で寄り道をする事になっております。 悪しからず！！
…また、路上で目撃された米軍車両の人気はジープです。見たことも無い小型車輌は戦場のままか、折りたたみ式のフロントガラスだけのオープンカーで長いホイップアンテナを立てて走り回り、１０輪車のＧＭＣ兵員輸送車の隊列や、convoyとプレートを付けた巨大トレーラーの車列には大型戦車が積まれ、青い炎のエキゾースト煙突、轟音その迫力には度胆を抜かしました。
間もなく横浜からマッカーサー司令部ＧＨＱが日比谷の第一相互生命ビルに移転し丸の内日比谷の都心部の多くが米軍施設として接収されます、米軍兵士も現財務省のファイナンスビルや麹町の現両院議長公邸敷地や三宅坂、現国立劇場敷地に野戦用の兵舎（カマボコ兵舎）を建て駐留しておりました。
鉄道も米軍の接収があり基幹駅にはＲＴＯ（Railway Transportation Office ）の事務所があり米軍貨客の運行、案内に係り、中央線でよく見かけたアメリカ軍用列車は立川フィンカム、横田の飛行場と羽田エヤベースを結ぶルートと考えられ、中央線から東海道線蒲田駅経由、京浜蒲田までは新線路を施設して京急穴守線の上り線路に連結して米軍羽田空港へ兵員輸送、朝鮮戦争の時も本国帰還兵の輸送ルートでした。 講和締結の昭和27年までは現在の京急羽田空港線上り線路を米軍が占領し、京急電車は下り線一本の単線運転でした！！。
省線電車では私の見掛けた中央線では電車編成の東京寄り先頭車両の半分が仕切られアメリカ軍専用車とされており、小田急線でも１輌編成の専用車が厚木、相模原方面行きのダイヤがありました。
当時の社会情勢は壊滅した産業、外地引揚者や復員兵の帰還で住むに家なく仕事なしの状態は現今の不況などとは比較のしようがありません。
今では風光明媚な御茶ノ水駅ホームの神田川対岸の崖には文字道理の掘っ立て小屋がびっしりと建てられ生活の場があったのです、獅子文六の小説や映画となった自由学校の舞台でした。
「家貧しうして孝子いず」が「国貧しうして孝女いず」でしょうか？、 困った時は女性が絡むのが”日ノ本の国のパタンです。…栄養の良い若き米軍兵士の大集団が住む東京で当然といえば当然の結果か！、先ず元気な”大和撫子”が現れアメリカ兵と手を組んで歩くようになり、一方男はパイラー（ポン引き）と呼ばれるセコイのが現れこちらも飛び回っておりました。
パンパンガールと呼ばれる女性達の発生です。しかしながら昭和大飢饉の娘身売りと同じく家族の生活を救う犠牲か？
当時流行った歌を御存知の方も居られると思います。
作詞 清水みのる 作曲 利根一郎 歌 菊池章子
＜JASRAC関係の作詞削除＞
戦争による家庭崩壊は随所に起こって過酷な生活を強いられた少年少女も多数発生し浮浪児と呼ばれる子供達が盛り場には屯しておりました。
それでは本題青線の話に入りますが、新宿界隈の実態から、ここも御多聞に洩れず敗戦後まもなく伊勢丹デパートは僅かな売り場を残してアメリカ軍に接収されます。
多数のＧＩ相手に自然発生的にパンパンガールが集まり、ＭＰの指揮下警察のパンパン狩りは新宿の日常でもありました。
この伊勢丹脇の明治通りは今の高島屋がある一帯が新宿四丁目で江戸時代は”天竜寺門前”、その後、”旭町”と呼ばれていたところで、新宿では最も古く、江戸時代から多様な人々が棲息した場所です。
ここの”どや”を根城に街娼が日本男子の袖を引き伊勢丹界隈は洋パン（アメリカ相手）の縄張りと、明治通りは当時のセックスルートでした。
新宿セックスゾーンとして赤線の”二丁目”、青線の”花園”、街娼の”旭町”ですが、ここは街も薄暗く、「どや」は、じめついた布団の敷き放しで「用をたす」には安価ですが陰気な場所といえます。。……次へ続く… ……前に戻る…
《消えた職業》
(7) 製造業の現況は
(6) 製造業の辿る道は
(5) 新宿風俗トライアングル 昭和２，３０年
(4) 占領米軍時代と青線etc
(3) 赤線青線、パンパン、オンリー、洋パン嬢
(2) 公娼、私娼
(1) 現代
