[世情] アナクロ感覚(2)−2 バカの功罪

前回に続きまして…一般的には”愚かで役立たずで知能の低い人”などを「バカ」本来の概念としておりますが、…悪意をもって相手を罵倒したり挑発する時にも使われる言葉とされます。実はこれが少数派で、…通常では幅広い薀蓄ある使われ方が圧倒的多数と思われます。
そこで、今回は暇人が暇にあかしてジャンル別に羅列、書き留めてみますが、切りが無いのでサンプリング程度と、本来の意味を逸脱した私的概念の混同ありかも?…悪しからず。…… 
先ず最初は本来の意味に近い、「愚かな人、その行為…を指摘、嗜める」から…
●役者バカ……結構昔からの言葉らしく歌舞伎役者などの舞台の名演を別に、日常の非常識の言動を揶揄した言葉らしく、最近の記憶では市川海老蔵さんが御歳33歳の平成22年、西麻布のクラブで、札付きの遊び人グループに属し遊興中に乱闘、暴行されて負傷、舞台を10ヶ月程度謹慎した事件がありました。……
●親バカ……これは多岐に亘り、我が子溺愛の話で、自覚に乏しくなりがちです、結構他人様からは厳しく観察されているのです。
●犬バカ……室内飼育の愛玩犬飼い主の言動に多いようですが、全く犬を擬人化して錯誤した表現をし、動物と云う認識を失い。人間との対比が殆どありませんので過度の犬依存症…犬を頼りに生きている危うげなお方を、よく見掛けます。
●お”バカ”タレント……一般的には昔の可愛い子ちゃんタレントの会話などを指しているのでしょうが、昔、テレビを賑わした浅香光代野村沙知代の大喧嘩にタレントさんが両派に別れ侃侃諤諤(かんかんがくがく)いたしましたが、またまた「ベッキー事件」で論争参入のタレントさんは、終わってしまえば”バカの上塗り”などと云われぬように御注意を…
●バカ殿(との)……これはテレビのコメディなどでお見掛けする殿様で、政事は「よきに計らえ」が口癖、女達に囲まれ日々を楽しむ殿様の綽名ですが、…違うタイプの5代将軍徳川綱吉もバカ殿の一種と厳しく評価されております。犬公方と呼ばれ、「生類憐みの令」の掟を創り社会生活を混乱させ庶民多数が投獄されております。……この殿様は学問好きで、湯島の孔子廟や後の幕府直轄の昌平黌(こう)の設置者です。 では、狂気の実態とは…「世継」に恵まれず、仏僧から前世輪廻の災いに”生類”を指摘されて「生類哀れみ」掟の発効にのめりこんだとされ、更に自らの干支が”戌(いぬ)”であったのです。…世に云う”犬バカ”とは違うタイプです。
●バカ切れ……メディアの社会面を賑わす老若男女を問わず起している現象で、交通機関など人々が混雑錯綜する場所で身体等の迂闊些細な接触が基で重大傷害事件に発展したりします。また駅務員に対する暴行なども発端は些細な事で逆上バカ切れする中高年会社員が報道されるのです。 また、最近社会の特徴的としては…高齢者のバカ切れ暴力事件などは自らの身体的弱者の立場さへ理解しない”女の腕まくり”的不思議な社会現象です。
……と、結構深刻な事象でしたが、次はその人の極端な行為を好意的、肯定的、或いは物事の例えです……
●釣りバカ……云わずと知れた西田敏行さんの「釣りバカ日誌」です。三国連太郎さんの社長を誑し込(たらし込む)んだ強力な”釣りバカ”振りが映画の核心でした。
●バカ正直……昔から此の手の人はよく居るのですが、隠し事は苦手な”バカ真面目”で通用するお方ですが、結構利害得失の絡む村の青年団消防団から株式会社の役員会までメンバーの話し合いがありますが、このタイプは煙たがられる存在でもあります。…但し会社の役員さんに此の手のお方が居られるかは知りません。
●馬鹿力……しばしば、神社さんの境内で見かける力石の説明は江戸時代に遡って当時の力自慢が持ち上げた記念石と説明されておりますが、普通は○○さんの馬鹿力で通用します。戦前までの人力が基本の社会活動で怪力は可なりのステータスだったのです。
●馬鹿キャラ……テレビを賑わす芸能人に此のジャンルの方々が多いようです。漫才などでは相方を馬鹿キャラに設定したり、落語の熊さん八さん、与太郎さんなども含まれるでしょう。但しキャラクターと云いますが馬鹿キャラ”もどき”を芸風とするタレントさんも可なり居るようです。
●バカ売れ……予想に反して品物などが爆発的に売れる様ですが、一般的には爆発的な人気「バカ人気」の役者、芸能人、催事、コピーなども含まれます。
●馬鹿と鋏は使いよう……最近は一般用、仕立て、金属、肉、カニ用に至るまで鋏は豊富ですが、昔の限定された家庭用の洋鋏、和鋏などで色々工夫して使用していた時代の話です。…肝心の「馬鹿」とは当然人の事、主人や職人が使用人や弟子などの様子から長所を見つけ伸ばす事、反面悪意として知的弱者に付込み教唆して手先を果たさせ自分の安全を計る。…
●桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿……これも可なり昔からの例えの様で梅や桜の剪定の基本を教えています。梅ノ樹の枝は小まめに剪定すると枝が増え、成長に従い沢山花が咲き、多数の実が収穫できます…「梅切らぬ馬鹿です」!  一方桜の樹は枝の剪定で切り口が腐りやすく、極力不必要な剪定を控え育てるべきなのです。…「桜切る馬鹿」です。
……などと、際限も無く続けるのもバカな話ですから、この辺でバカ年寄りがバカ話を綴って「バカ」を終わりにいたします。
……昨年末はバカ陽気が続きましたが、年が明けてからはバカ寒く、衣類を出したり仕舞ったりのバカバカしさです。…国会では、前からバカだバカだとは思っていた政治家さんが、立憲政治も理解できていない馬鹿さ加減を露呈しました。これほど馬鹿だったとは、…日頃民主主義を口にしますが意味も解らない…バカもいい加減にしてもらいたい。…夏には参議院の選挙がありますが、日本全国にこの垂れ目政治家戦争請負人のポスターが貼られるのが馬鹿にされている様で憂鬱ですが、この出費も基を糾せば税金のバカバカしい為れの果て、知ってしまえばバカらしいのですが、選挙は馬鹿にしないで馬鹿は承知で投票所へまいりましょう。……この一月は恒例昔の”馬鹿ガキ”が集り「バカッ花」で札をいじりますが、バカ勝してささやかでも馬鹿遊びでもしたいと馬鹿な心算が、ひょっとすると手が後ろに回ると馬鹿らしく、止めにしました。……おわり… ……前へ戻る

アナクロ感覚》
(2) バカの功罪
(1) 「バカ」は偉大な日本語