[時事] 農業と農地法(6)−8 日本農業の中身を知ろう

最早伏魔殿と化した農業と云う産業ですが、その総てが政治勢力の関与が農政の利権絡み体質として底抜けの誤魔化し、脱法が社会生活上にも平然と罷り通っています。郊外地帯のウオーキングで目に付く”はてな?”は顕在化するばかりです。……相変わらず、ぐだぐだと話は進みますが、頭の回転が遅いのはご容赦お願いします。
……敗戦後の社会環境の変化で私達の生業は随分と消え去って居り、その都度経営者、労働者は苦渋の努力を強いられてまいりました。例えば、戦後社会を揺るがした石炭産業の壊滅、繊維産業の衰退、特に伝統の小売業商家の壊滅は眼を当てられない惨状を呈し、ほぼ全業種に及び、無人商店街やシャッター化は地方と云わず都市部にも及んでおります。……また各地の工場地帯を形成していた小規模工業、家内工業の類も壊滅し果てました。更に失われた職業は数知れずあり、特に私には晴天の霹靂だった海運日本国の外航船員の壊滅は一瞬であり、各地に残る旧商船大学、旧商船高専など学校は存在するが、卒業生は船員にはほぼ採用されず、何処に職を求めているのでしょうか。 現在も世界屈指の海運国日本の海運会社運行船舶で、特に普通船員に属する甲板員、機関員は低賃金の外国人船員に駆逐され、只の一人も居ないと云える状態です。……などと、一般的には過去の社会変化をも果敢に乗り越えた人々で民主主義社会が構成され存続して行くと云えると思います。……だが、政治利権に侵食された農業、特に産米農業者を主として過度の補助金漬けや優遇策にスポイルされ、高米価策で過剰米、荒廃放棄地、品質開発力、競争力喪失で将来展望がありません。日本農業を発展させ将来性のある安定した産業を望む専業農業者と納税者の願望実現は果たして可能なのでしょうか?……
さて、日本農業の根幹法規は「農地法」「農地基本台帳」で、その実質支配組織は市町村の「農業委員会」です。 前回は農業委員会の組織の不思議な思想を指摘しましたが、では、全国各市町村の農業委員とは……その地域の農業者…専業、兼業農家を問わず公職選挙法に基き選挙人、被選挙人となり当選者が公職の農業委員に就任し、農業委員会の開催、農地基本台帳の作成に携わり、農地の売買、耕作権の設定、農地転用、新転入農業者への農地貸借などの許認可権など、あらゆる地域農業に関る最高権力組織を構成しております。……
分かり易い話…例えば新規農業者の農地借用、農業参入申請→…拒否理由は何でも良いのです。…地域の和を乱す恐れ。…大型農機の導入可否。…当地は兼業農家が主体で大規模農業は異端。…余所者農業労務者転入で治安悪化、などと排除の理由を、とにかく並べ農業委員会で可決すれば良いのです。会議議事録など存在せず、第三者への情報公開も行われず、平然と法的参入拒否は認められます。……
では、農地転用の決定……例えばショッピングセンター、ニュータウン開発などは郊外地域の農業地帯で良くある話です。総てが農業委員会の決定で転用が決まります。地域で色々ですが、兼業農家が多数を占める地域など選出農業委員は兼業農家の利害代表者と云えるでしょう、当然選出された農業委員は兼業農家ですから、本業が不動産業者、土木建築業者の農業委員も存在します。地域農業者願望の農地高額売却を画策、政治家こと市議会議員とくみ、市発展手段として道路建設などと、搦め手から画策して市役所に実行させ何時の間にか道路は農業地帯に達します。と、ここで市発展の人口流入策としてニュータウン計画、商業施設誘致を議会が議決となれば、農業委員会は即座に農地転用許可となり、念願の農地高額売却の錬金術は実現いたします。……郊外地域の土地投機願望の農業地帯では、意欲のある新規参入者はそれこそ疫病神的存在、地域の歓迎せざる排除すべき人となる訳です。……今云われる積極的参入者に農地を集中貸借、農業再生案など現実と乖離した話でしょう。…
すでに農業者の意識を喪失した土地投機願望の擬態農業者と云える兼業農家(本職は会社員)や相続取得農地所有の都会在住の非農家の存在も顕著になっております。…兼業農家は手間の掛からない稲作に集中、80パーセント余りに達します。
農業の安定発展を目的に農地を確保する役割とする筈の農業委員会と農業委員の象徴的実態とは……実際に駐車場に為っている農地に記者が農業委員を案内し、これが農地ですか?と質問すると「これは農地だ」と告げ逃げ去る姿を放映しています……2009-2-21日テレ東ニュース番組より
……野球場が農地基本台帳では農地とされ、耕作放棄地にも該当しておりません。…埼玉県所沢市の私鉄所有地は指定農地を仮登記購入した不動産業者より転売されました。この空き地は農地以外の使用は現在出来ませんが地域の野球場として活用されています…毎日新聞「農地漂流」より。
現実に農地と云う破格の低税率を利用し駐車場その他に転用などは農業委員会の査定でもトラクター等で農地復元可能な転用は「農地」と認めているようです。法規定と隔離した恣意的な農地法運用が常識化しているのでしょうか?…
     ……先へつづく…  ……前へ戻る

《農業と農地法
(8) 日本農業と中身の結末
(7) 日本農業の誤魔化し
(6) 日本農業の中身を知ろう
(5) ボタンの掛け違いは農地解放
(4) 無責任農業政策の相関
(3) 日本国の飢餓(きが)て、なんだ!
(2) 日本国の農地法ってなんだ?
(1) 世襲立国 大日本農業帝国