[時事]  農業と農地法(5)−8 ボタンの掛け違いは農地解放

農地解放、財閥解体と云う資本主義社会、いわゆる自由主義社会では、先ず実現不可能な政策が敗戦という異常事態で占領軍の命令で実現し、日本軍国主義をも凌駕するGHQマッカーサー元帥のインパクトに驚愕したはずです。   だが、この農地開放政策は戦前の軍国主義のバックボーンと云われた地方農業地域の民主化促進の一環だったとされます。更に踏み込んで敗戦後の社会主義思想の復活隆盛の動きは農家の6割を占める小作農の農民組合化阻止へ一石であったとも云われます。……
しかし、洗練された筈のこの改革でしたが、人間社会の本質を見落としていたのではないのか?……江戸時代各藩の公的文書などに記された年貢の対象にならない小作人農民を「水呑み」と分類しており、又飢饉や藩の過酷農政の皺寄せはいわゆる「水呑み」に集約されで脱走農民の無宿人化は顕著で江戸では追い返したり、野非人化は取り締まりの対象とされ、佐渡金山や非人溜めに送られました。……
敗戦以前の日本史上、庶民いわゆる一般農民は過酷な生活を強いられた経緯がありますが、江戸時代以来の晴天の”へきれき”農地解放は農民の皆自作農家化が実現いたしました。田畑は細分化されたとは云え憧れの地主様誕生でした。しかも敗戦直後の食糧難は、有史以来の農民優位の社会が実現、インフレーションを追い風として農産品は日本銀行券ですら購えない貴重物資の座に着いたのです。……
時代は変わったのだ…身分は一転したのだ!…水呑みは過去の事、日本国の社会生活の上位を占める地主様の自覚が一般農民層に出来上がるのは間違いない事でした。敗戦直後の小作人社会主義化の危惧は一転、保守化のうねりに変化し、現在の自民党金城湯池が以来永年続いておりました。……農水省も素早く世情を察知して省益拡大のチャンスと、戦前農業会の流れのJAも組織拡大を目指し、自民党の先生方など農業に群がる利権獲得競争が一挙に勃発します。……戦前戦後の飢餓は軍国主義日本が自ら招いた国民的恐怖でしたが、これをコピー化したスローガンを掲げ、年々農業関係予算支出を拡大し、更に農業の聖域化へと法律の乱発が始まりました。……
現実の国土は放置され「荒廃した農地」、「過剰な補助金漬け」「有り余る過剰米」、「有名無実の農地法」、「兼業農家主体の農業委員会」、「篤農家を無視した農政」、「農地保護策の逆効果、土地高騰期待の投機意識の発生」。更に、日本国のGDP 1%である農業が過激な”農産物保護政策”で世界各国との通商交渉を妨げる要素として、FTA(自由貿易協定)の交渉や、また、WTO世界貿易機関)との話し合いなどの障害として国民の幸せ…国力増強の障害になっております。 日本国を阻害する政治利権至上主義政策が跋扈し、その結果の農業実態は1987年(昭和62年)農業付加価値約3兆円をあげるのに消費者や納税者の負担額は4、2兆円になっております。(OECDの推計)……
…どの面からも農水省自民党の農業政策が農業の在り方、将来展望を暗黒なのもにしているのです。  農業は崩壊の道しかないのか?………
では、次回から具体的な矛盾、抜け道、法律運用の出鱈目、もはや末期症状の農政実情を調べて見ますが、すでに農業政策の根源である農地法の基本記録である「農地基本台帳」運用最高組織の市町村「農業委員会」の構成をみますと不思議な思想が垣間見えます。……卑近な話で申し訳ありませんが、
例えば……逮捕された泥棒さんの裁判、……泥棒と言う特殊な犯罪を裁く最良な方法とは、泥棒さんの手口、生い立ち、動機、罪悪感、人間性など詳細を熟知する必要上、裁判法廷の判事、検察官などは泥棒を生業とする者に委任するのが罪科解明上最も有効な手段と云える。と……或いは会社の業績評価の適正化は当社経営役員会が最も会社の実態を熟知し、公正、最適な評価ができる。……重要な何かが欠落しているような気がするのですが…      ……先へつづく…   ……前へ戻る

《農業と農地法
(8) 日本農業と中身の結末
(7) 日本農業の誤魔化し
(6) 日本農業の中身を知ろう
(5) ボタンの掛け違いは農地解放
(4) 無責任農業政策の相関
(3) 日本国の飢餓(きが)て、なんだ!
(2) 日本国の農地法ってなんだ?
(1) 世襲立国 大日本農業帝国