[歴史][時事] 甦る記憶 (1)ー8 女衒(ぜげん)、華族、貴族院 

さすがに最近は昔は良かった!などと云うお方は自民党安倍総理など一部の人を除いて見当たりませんが、世に云う高齢者こと年寄りの悩みに日常の物忘れがあります。が、その反面、昔の昔の光景は何故か鮮明な記憶が残り…いわゆる恍惚の人の初期段階なのか?、などとは、…私自身で考えない事に致しまして、民主主義日本国の戦前の姿などピックアップしてみました。……今回は以下のお話になります。
◆女衒(ぜげん…娘売買仲買人)
人買いの話は平安の昔から営々と語り継がれ、京の吉田少将惟房の子梅若が人買いにかどわかされ、はるばる隅田川のほとりで病に倒れて捨てられた悲劇を、我が子を尋ね歩いた母親が知り供養にと髪をおろし尼となりますが、耐えられずに発狂し浅茅が原の池に身を沈めた悲話ですが、多くの文学作品にも登場し母親”妙亀尼”の小さな墓が妙亀塚とし浅草橋場にあります。 

さて、女衒(ぜげん)とは江戸時代公娼遊郭に少女を斡旋する人身売買の仲介人で悪徳人買いの話も多く残っています。 現代日本の昭和初期の不景気、大凶作では東北地方の娘達が親に売られ女衒の手で苦界に沈む悲劇が激増いたしました。
写真は昭和の時代に山形県長井市にある伊佐沢村の実写です。 この写真から私は女衒が町役場に平然とコネを持ち娘達を取り込んでいたと考えましたが、一方身売りを思い留まらせる相談と見る人も居るのかもしれません。…如何でしょうか?……ま、当時の寒村の役場に身売り代金に換わる大金の財源や福祉の法律など皆無の時代を考えますと、悲劇的な感想になってしまいました。 娘身売りの仲介者女衒の存在は昭和20年の敗戦まで続き、進駐連合軍総司令官マッカーサーによる公娼制度、人身売買の廃止命令まで存続していたのです。
……では、法律、国が娘身売りを許した「カラクリ」とは…明治5年(1872)建国間もない日本には既に先進国並みの『芸娼妓解放令』太政官(政府の旧称)布告と「前借金無効」の司法省達が存在します。…発端は横浜入港のペルー国のマリア ルス号の清国人奴隷(苦力)を政府が開放した件の訴訟で逆に日本の人身売買の実態を国際問題の法廷で暴露され、日本政府に奴隷解放の法的資格なしと告発され国の威信を傷つけられたのが原因で成立させたものです。…
旧制度は身代金(前借金)をもって芸娼妓として拘束される図式でしたが、新公娼制度は芸娼妓稼業は当人の自由意志による許可制、当然廃業は自由、さらに踏み込んで娼妓名簿からの削除…廃業手続きは「書面又ハ口頭ヲ以テスヘシ」…楼主との連署捺印書類も不要、口頭申告でも当該警察署にて可能と云うものです。…
が、良く出来ている筈の法律は最高裁大審院)の判決で一転無力化します。
その概要とは。……『芸娼妓の登録は本人の自由意志、人身売買は存在しない。依って娼妓本人による前借金などの貸借契約は有効』となっており、即ち娼妓就業と借金の一体性を認めず別次元の問題としております。……この結果は、…娼妓登録は身売り女性(子供)に自署させ自由意志を強調し、更に借金(身代金)借用の自署と連帯保証人として親兄弟、本家親類などを立て、以って返済確約させられます。  借用金が昭和初期で1300円程度とすると千円以内で家が買えたとされます。しかしこの金額から女衒のコミッション10〜50%を差し引き、その他娼妓就業の準備費用などが必要で残金が娘を売った親に支払われるのです。……
公娼制度に明記された廃業手続きは「書面又ハ口頭ヲ以テスヘシ」…楼主との連署捺印書類も不要、口頭申告でも当該警察署で可…など空しいばかり、マッカーサー司令官の解放命令まで女衒がいたのです。
爵位……公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵
敗戦後昭和22年まで残った身分差別、いわゆる身分制度です。確か私の記憶では日本海海戦の東郷元帥は侯爵、旅順攻略の乃木大将は伯爵、幕末最後の徳川将軍慶喜は朝敵征伐の賊軍首魁でしたが明治維新後に公爵(貴族院議員)に叙され、更に孝明天皇京都御所を砲撃した朝敵長州藩毛利元徳は公爵などと、理由は良く分らないのですが、摂家、精華家を初めとする公家と江戸幕藩体制の各藩主、政治家、陸海軍人、財閥がその地位と評価の順に上位公爵から下位男爵まで叙されております。 この人達が天皇家の藩屏として崇め敬い、天皇の周囲を固め護る直近として構成された華族と云う階級で、平民(臣民)と神格天皇を隔離する階級身分のバッファー役なのです。……現憲法の平等原則や貴族制度の否認など明記された憲法執行を前に廃止されました。
華族
明治2年(1869年)から昭和22年(1947年)まで存続した身分制度で上記爵位に叙された男の家督者。
貴族院貴族院議員
明治23年(1890年)から敗戦後の昭和22年(1947)まで存在した。国会議院制度で衆議院との二院制だが解散はなく、非公選の皇族、華族などの勅任議員によって構成され、昭和22年現憲法執行を前に両院の議決で廃止された。新たに参議院が誕生し以後衆参の二院制度が継続しています。
では貴族院の貴族とは何か?…皇族と華族の総称か、…定義はなし。
と云う事で貴族院議員は皇族と華族が議員を勤め、帝国憲法によれば華族貴族院議員を務める義務を負い、30歳以上の公爵、侯爵は終身、伯爵、子爵、男爵は互選で任期7年間と定められています。 即ち大日本帝国国会の貴族院は民意と関係のない皇族、華族議員により占められていました。
      ……先へつづく

《甦る記憶》(8) 昭和珍商売 世投げ屋、偽傷痍軍人、犬殺し
(7) 昭和珍商売 モク拾い、泣売(ナキバイ)、衛生博覧会
(6) 昭和仕事 俥夫、ボテフリ、カラス部隊
(5) 昭和の仕事 エンヤコラ、車力、馬方、汲み取り屋
(4) 昭和の消えた生活 仕事
(3) 街から消えた商売
(2) 日本国とアメリカCIAの関係
(1) 女衒(ぜげん)、華族、貴族院