[歴史][地域] 隅田川と戦国武将(2)−2 浅草の石浜城と神話天岩戸

今回も浅草附近隅田川岸を構成していた石浜の丘陵真土山(待乳山)に拘わる推理と南北朝時代の風雲児足利尊氏伝聞です。……







つらつら考えるのですが、歴史とは講談師さんのお話し程度のものなのか? 南北朝の争いも太平記という物語をベースに考えたり致しますし…
徳川将軍家については徳川実記などを基本に語られたり、唯の神話を日本歴史にすり替えたりもいたしました。 数十年、百年に亘り戦場を駆け回る武将や権力者達の思慮、行動、対話などを詳細に記録されるのは不可能かと考えます。
ま、当時の執筆者が大雑把に俯瞰し推理肉付けしたものかも知れません。その時代の多面的な考えの一つとして参考になると云う事でしょうか?。…
むしろ歴史に余り詳しくない人がその時代を望見する事で大局的に時代の真実を掴む事が出来る様な気もいたします。
戦前、私達は神話を日本国史として教育されましたが、古事記、日本書記が明らかに人間生活を基準にどなたかが創り上げたのが明確なのに、触れゝば手が後ろに回る旧憲法上の神典とされていました。……
では古事記から高天原(たかまがはら)天照大御神の天岩戸から……宇気比に勝った須左之男命は、心がおごり、種々の暴行を働くようになった。大御神の営田の畔を切り、溝を埋め、大御神の聞こしめす大嘗の殿に屎(くそ)を散らした。大御神は、あえてこれをとがめようとはしなかったが、忌服屋で神御衣を織っていたとき、天の斑馬の皮をはいでおとし入れ、服飾女を驚死さすにおよんで、さすがの女神も怒り、天の岩戸にかくれてしまった。 そのため天地はまっくらやみになった。……日本の歴史 井上光貞著…
戦前歴史の皇国史観では高天原は天の彼方宇宙に存在する事になっております。……この宇宙空間で畔を切り田で稲作をする、馬が居る、機を織る、神様が糞をする、など、これが日本国《歴史》の根幹であったのです。……
一方、天照大御神の住む領地「高天原」は地上にもあり宮崎、熊本、岡山、群馬、茨城、鳥取、和歌山などにそれぞれ存在もしているのですが?… と云うお話から本題浅草石浜城に移ります。
石浜といえば足利尊氏ですが、この方の認識でも一言、……近代日本では更にいい加減、改ざん捏造された歴史が罷り通っておりました。
明治維新後の政府は水戸学を信奉して歴史教育では足利尊氏を朝敵としておりましたが、500年余以前の永禄年間では楠正成が朝敵だったのです?、南北朝正閏論をお調べ下さい。……では水戸学の南朝正統論とは、…余りにも有名な話しです。…松平家康が武士の正統名家源氏を名乗る方策として新田氏系の得川氏(徳川氏)の家系を譲り受けております。 その新田氏が南朝後醍醐天皇に御加勢し殉じた由縁から御三家水戸藩徳川光圀が我田引水の南朝正統論を確立したのが唯の根拠でした。……では光圀が南朝忠臣楠木正成を知った由縁とは…明朝崩壊により神戸に在住していた明の学者朱舜水徳川光圀が寛文五年(1665)招聘し師と仰ぎます。朱舜水は当時より更に330年前の文書から、延元元年(1336)湊川の戦いで自害した楠正成の話をを見つけて正成の勤皇振りを光圀に教示したと云われ、光圀が楠正成の存在を知つたエピソードです。…ちなみに現在の天皇家北朝系の子孫なのですが、、 私達が知る由もない昔の事、歴史”伝聞”とは面白いと思います。
……『大変恐縮ですが』、府中の合戦で敗れ浅草石浜の要害に逃れた足利尊氏九死に一生を得て新田氏滅亡へ勝利した詳細は下記御参照下さい。……
バックナンバー太平記の世界(1)足利尊氏と東京浅草
              
新吉原講の寄進石碑
と云う事で尊氏を救った浅草石浜の要害とは何処でしょう。 この問題も”高天原”と同じく未だに断定は出来ておらず歴史推理の範ちゅうですが、中世以前の地形は上野台地から隅田川までは広大な遊水池で河畔は辛うじて砂利、砂の堆積状態でした。 隅田川対岸向島に立て籠もった説は先ずないでしょう。
私の想像は鳥越附近から浅草観音附近の陸地を伝い石浜の河畔に出ますと、そこには砂利州ではなく土の山(真土山)が丘陵として存在します。現在の待乳山聖天院の丘です。 そこ以外に敗走大軍が立て籠もれる要害は考えられません。
しかし聖天院の丘は余りにも小さく、また後に千葉氏の石浜城になった痕跡も遺構の出土は皆無なのです、そこで…赤城の山で国定忠治は考えた、と田舎芝居ではありませんが、私も考えた、前記の広大な遊水地と湿地を埋め立て、お江戸の拡張に真土山を取崩したと考えられ、…具体的事実として有名な日本堤の構築にもこの山土が利用されたのでしょう。 ……遊里の信仰を集めた待乳山聖天院も浅草探訪では外せませんが今回は御参りだけにしておきます。
”講談師見てきたような嘘をつき”…私は講談師さんではありませんが、多少自戒はいたしております。!!
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