[交通流通][事件事故] 海難(2)−6 MOL COMFORT(コンフォート)沈没

前回記事は6月17日コンテナ船MOL COMFORT(コンフォート)がアラビア海で破断後、船体前後部が二分して漂流中迄でした。 その後もウオッチしておりましたが、ブリッジのある後部が6月27日沈没、…主機エンジン、補機、プロペラシャフト、プロペラと船体重量部分の広大なエンジンルーム区画に浸水すれば当然の成行きかもしれません。…
しかし船首部分とホールド内コンテナ、積載甲板にもコンテナを満載して破断前部が漂流中、6月24日に手配の航洋タグが到着し曳航を初めましたが、7月7日曳航中火災発生しインド巡視船が消火活動をしたが、積荷コンテナ総てが焼損して船体も7月11日にムンバイ(ボンベイ)沖500マイル附近で沈没。……
この海難の結末が憂慮される事は、又も事故究明の手掛り、船体を沈没させた事です。
    
火災により沈没直前のMOLコンフォート破談前部。Photo:gCaptain.com.
http://gcaptain.com/mol-comfort-has-sunk/ 事故発生後沈没にいたるアラビア海上の位置も検索できます。……
過って昭和44年、45年に日本船籍5万6千屯(D/W)級の鉱石運搬船(バルクキャリヤー)が相次いで冬季の千葉県野島崎の東方洋上で船体破断沈没事故が起きております。 ボリバア丸は船長以下30名死亡、カリフォルニア丸は船長以下5名死亡の惨事となりました。…建造造船所はボリバー丸がIHI東京第2工場、カリフォルニア丸が三菱重工横浜造船所と名門工場建造船でした。
この二つの海難事故も船体沈没により事故原因は解明不可能と海難審判で結審しております。 今回のMOLコンフォートは三菱長崎の建造船ですが、前記両船と同じく荒天時と言えども当該海域の通常海況下に発生し、明らかに人為的過失の存在無しで船体破断沈没はしない筈です。…設計、構造、建造段階か?、船体の隔壁、外板鋼材超高張力鋼の品質に迄及ぶのか?、一方、客観的な海況からは操船当事者、積付けなど幹部船員の職責のウエートは低いのでは?、……が、今回の事故は破断し漂流する船体は外国船から撮影の写真が多数残されており、破断箇所もスッパリと、あたかも羊羹を切った様に写されており、沈没したとは云え解明の手掛かり、余地は多分に存在するのでは、……なお、商船三井は事故原因究明にロイドレジスター(ロイド船級)を技術コンサルタントとして起用しております。
但し、遥かアラビヤ海で起こった海難事故に潜む重大な問題は、オール日本的様相も孕んでいるのです。…その技術は宇宙開発ロケット、航空機に迄及ぶ日本の代表企業三菱重工業、国際的海運大手”商船三井”、ワールドワイドに展開する日本鉄鋼業、世界一の船級組織日本海事協会の「Class NK」の船級取得船はロイド船級を凌ぎ世界船舶の20%に及びます。
今回のMOLコンフォートもNK船級取得船で協会では竣工時、定期検査時も適切な検査結果と言明しております。
注) ……NK船級が行う主な業務は、船舶の安全を確保するために制定した規則が建造時と就航後の船舶に適用されていることを証明するため検査を実施することであり、NKが制定する規則は、船体構造のみならず、推進機関、電気、電子システム、安全機器、揚貨装置など多岐に及ぶ。……
今回沈没の事態を知り…心を過ぎった事は、前記鉱石運搬船(バルクキャリヤー)とは異なり船倉内積荷はシールドされたコンテナの浮揚体です。 漂流、曳航中の分断船体のトリムはフォアとスターンがイーブンと想定出来て浸水の兆候はなく楽観していましたが、火災とは!、事故時、或いは漂流中ならばいざ知らず、支援船で人が事故船に関与中に発生した火災は不自然な気もいたします。
また、アングラブログなどでは中東地域紛争への武器などのコンテナ積載の秘密物資の集荷搭載を書いている向きもおります。 この海難に関しては明らかにヒューマンエラーの介在と事故発生後の何か割り切れないスローモーな展開が気になりました。……
《補追》  この件に関しては日本国の海難審判所国交省運輸安全委員会等の審査の対象になるのか?、海難発生が以下の条件下により不明です。(1)事故海域-外国公海上アラビア海)、(2)船籍-バハマ(置籍船)、(3)船舶職員(MOLコンフォート)全員外国人、全員救助、(4)商船三井の地位-外国籍船舶のオペレーター。
結論として事故物件の船体海沈と云うアンタッチャブルの結果招来をメリットと考える何かが存在するかも知れません。……但し私の情報取得はあくまで一般メディア、Webがソースです。 心を過ぎった記述に過ぎませんので、悪しからず御諒承ください。……先へつづく…   ……前へ戻る

《海難》
(6) 京浜運河の第一宗像丸海難事故 或るヒューマンエラー
(5) 史上最大洞爺丸沈没事故と船長
(4) 大型貨物船カリフォルニア丸沈没と船長退船拒否
(3) 大型貨物船遭難ボリバア丸31名遭難とヒューマンエラー
(2) MOL COMFORT(コンフォート)沈没
(1) 商船三井コンテナ船 船体破断