[歴史][地域]　　東海道品川（６-２）　歴史回顧のできる場所

大森海岸から品川宿を目指して歩く２回目になります。　初めになぜ、歴史回顧の地なのか？、主要な概要から……
孝明天皇に手を掛けた稀代の大罪か？、尊王公家岩倉具視の秘められた塋域「海晏寺」　……将軍慶喜の大政奉還後、最後まで岩倉具視、大久保利通に対抗し慶喜を庇つた土佐藩主山内容堂墓所。……大英帝国を範とした立憲君主国を目指した自由主義者板垣退助の墓。……幕府法度「禁中並武家法度」に連座の僧「沢庵和尚」の東海寺。……神社本来の姿を語る品川天王祭、北の天王さま品川神社、南の天王さま荏原神社の祭礼。……　大大名肥後藩主細川家、巨石林立の塋域。……鉄道の父井上勝、初代鉄道頭、イギリス密航で鉄道を学び、新橋、横浜間の鉄道を完成させた。新幹線、山手線に挟まれた墓所。……　以上がこれから歩く主な処になります。
今回も位置確認はWEB地図などでお願いいたします。また鈴ケ森から国道を分岐した旧東海道が基準となり、北側を走る京急線高架や第一国道は存在しなかったレイアウトでお考え下さい。……
　　　　　　
　　　　　　　　　　

上）山内容堂墓所　中）品川寺参道　下）品川寺本堂
では、旧道を品川へ、鮫洲駅入り口から第一国道へ、向側の大井公園一帯が土佐山と称し土佐藩下屋敷の在ったところで、山内容堂墓所の案内板に従うと小高い場所に神式の土饅頭の墓所があります。　容堂の遺言で葬られたと云われ海を眺める風光の地であったのでしょう。
彼は尊王佐幕派の殿様で大政奉還後は将軍慶喜の為に最後まで岩倉具視、大久保利通に対抗し慶喜を庇いました。徳川将軍の辞官納地の会議での様子…
　最後の将軍　司馬遼太郎　文春文庫より
……「ニ、三の公家のなすこと、陰険に渉る。おそらくは幼冲（ようちゅう）の天子を擁し、権柄（けんぺい）を盗まんとする野望にあらざるか」とまで言いきった。　「容堂、気騰がり、色驕る。傍若無人」とまで臨場していた公家のひとりが書いたが、それも岩倉の奮闘で夜ふけにはしだいに押され、ついには、このあたりで、三百年の恩は報じた、と容堂もそう観念し、沈黙した。　ついには辞官納地を慶喜に要求する件もその沈黙のために黙認したかたちになった。　松平春嶽も同様であった。……
すでに以前から容堂の土佐藩内も内紛や坂本竜馬などの体制不信者の脱藩で揺れ動く状態にあったようです。…
旧街道に戻りまして暫くすると太田道灌創建の品川寺（ほんせんじ）の門前には江戸六地蔵の一つで巨大ブロンズ地蔵が旅人を見守ってまいりました。　
お江戸各街道の入口に在る六地蔵建立者は浄財寄進者を集め誓願した深川の地蔵坊正元です。　境内には唐様の本堂などゆったりした古刹の雰囲気があります。…　
この寺の隣接した場所には江戸東海道筋の歴史に欠かせない話ですが、”松右衛門”と称する非人頭の住居、抱え非人の居住小屋百四十三軒、預かり罪人収容の品川溜があり、小屋頭四十二軒を配下に、日本橋を境として浅草溜の非人頭、車善七と共に長吏（穢多）頭弾左衛門の浅草新町役所の支配下で幕府司法行政の一端、江戸風の警察署を担っておりました。　　非人身分の仕事として御存知の鈴ヶ森刑場の管理、罪人仕置き手伝い、あるいは江戸流入の潰れ百姓（野非人）の刈込みや追い返し、奉行所の委託で犯罪者を品川溜内に収容管理する溜御用、盗人やキリシタン、捨て子などの見張り、長吏（穢多）職掌の補助。その他生活手段として斃牛馬処理と目黒川を利用した皮鞣、河川不浄物片づけ、乞食をする権利、番太、番太郎と称する各種番人。　ただし細工、商いなど商工業は禁じられており江戸被差別階層として幕府から強い制約と一面の利権を受けておりました
注）現在は実体なく死語としての差別語を江戸歴史用語（幕府公文書用語）として使用しました。
品川寺門前の先、交差点が仙台坂（新仙台坂、池上通り）からの道です。左折し京急線青物横丁駅から第一国道を渡り仙台坂上の交差点に仙台味噌製造販売所があります。この一帯は江戸時代の仙台藩下屋敷跡で屋敷内で仙台味噌を醸造し旧仙台坂、別名暗闇坂（改正新道）を下り旧東海道経由で汐留の上屋敷に運んでいたそうです。この変哲のない建物の業務が仙台屋敷の残滓です。味噌店の前の新道を第一国道に下り左折すぐに海晏寺の広い境内が丘の上へと広がり江戸時代は紅葉の名所です。広大な墓地を抱え裕福なお寺さんに見えますが、新築の本堂は締め切り御本尊聖観世音菩薩に手を合わせる場所さえ与えない異様な雰囲気でした。このお寺さんの墓地の最奥に岩倉具視一族の眠る場所です。……次回へつづく… 　……前回へ戻る…　　