[事件事故][地域] 福島原発事故(1)−3 原発事故とヒューマンエラー

雨が降れば天気は悪い、寒波が来れば冬に為ったと分っているのですが、やはり寒さには閉口します。……
3月11日の東日本大震災から早くも9ヶ月、遅々として進まないのが福島原発放射能汚染対策です。 震災当日福島原発の現場管理者、運転者の行動と炉心溶融水素爆発に至る対応処置が未だに時系列で発表もされずにいますが、昔から事故、事件の調査のイロハのイは現場に在りとされ、そこから、現場当事者の人為的原因か、設備の欠陥、あるいは教育、操作マニュアルの手抜き、東電経営者の責任問題などが解明されて行く筈なのです。更には原子力発電導入を主導し、許可、監督に当たった経済産業省など政府も告発される可能性も潜在しております。 つい最近のJR福知山線脱線事故解明では運転者の人為事故に加えてJR西の社長も重大な管理責任で告発、裁判に発展した事実があります。……
12月9日に原子力安全基盤機構(JNES)から東日本大震災発生時の福島原発1号機の非常用復水器が稼動したならば炉心溶融に至らず。との解析発表がありました。 以下12月9日毎日新聞配信記事。
東京電力福島第一原発事故で、1号機の原子炉を冷却する非常用復水器(IC)が津波襲来から1時間以内に再稼動した場合、炉心溶融に至らなかったことが8日、原子力基盤安全機構(JNES)の解析で分った。 ICは電源が失われても動く唯一の冷却装置だが、ICにつながる配管の弁が閉じ、機能を果たせなかった。迅速に弁を開ける方法を準備していれば、炉心溶融は避けられた可能性がある。……
……電源喪失に伴ない弁がすべて閉まるよう設計されており、地震発生後は断続的に動いたが津波後に閉じた。2時間40分後の午後6時18分、蓄電池が復旧して弁が開き7分だけ稼動したものの、運転員がICの冷却水不足を懸念し手動で停止、再稼動はさらに3時間後だった。……
(記事抜粋)
現在に至り、いまだに事故根幹に迫れない理由は大新聞の偏向、即ちニュースバリュウ主義です。 今回の原発事故を東電経営陣、役所、政治と大きなターゲットで世論を煽り新聞商業主義の糧にすり替えているのです。結果は事故解明順序の逆転となり現場の対応経過が無視されております。 更に悪いのは政治理念など、さらさら無く、大新聞の論調、キャンペーンを世論と錯覚した風任せ議員、ニュースペーパー議員で構成した政府と国会です。哀れな欠管総理の退任後も同じような顔ぶれが続いております。……特に注意すべきは大新聞、東電、政府の思惑!…今回の激甚災害では原発爆発は必然事故として事故原因解明をチャラにしてしまう画策です。 
すでに東京電力原発運転者、現場管理者に人的被害はなく社員として在職しているのですから、地震津波発生時の操作運転を時系列で解析している筈です、発表しないだけなのでしょう。
半導体集積回路、コンピューター、人工衛星の出現で私達の生活文化は激変し人間の五感で対応できない、ジェット機や新幹線、原子力施設が出現、その操作はマニュアル化し非常時の事態には当然バックアップ機能は設計済の筈です。 この原発炉心溶融の大事故の総括が出来ていない現在、忸怩たるものがありますが、万一震災発生後の原子炉溶融、水素爆発につながる運転エラー、管理ミスが発覚すれば、世間の常識を覆して、激震災害に耐える設計が施された原子力設備とされた筈です。
災害後すでに9ヶ月の歳月が経過しております、事故直後の現場ならば各人の対応経過は率直な報告を期待できますが、今になれば当事者も会社も保身に走るのは明白であり、操作記録が残されているのか? 真実解明は難航するでしょう。 ……この炉心溶融解明は新聞商業主義の煽りと、それに乗った国会討議の現場軽視が大きな障害になるかも知れません。……つづく

福島原発事故
(3) 足尾鉱毒事件との対比
(2) 東京電力料金値上と福島原発事故
(1) 原発事故とヒューマンエラー