[寺社][地域][歴史]  巣鴨界隈(2)−2 四谷怪談、振袖火事由縁のお寺

被災地の苦労は一向に回復出来ず私達の心も沈滞するばかりです。ましてやf福島原発の対処も深みにはまるばかり、放射能汚染国日本の風聞が世界認識にならない事を願うばかりです。この期に及んで無念なのが政治資質を全く欠く権力指向一本の国家指導者です。マスコミを伴侶にした風任せ政治家達の無能はその地位にいる事態が既に罪悪なのかも知れません。……
巣鴨に戻ってまいりました。前回はおばーちゃんの原宿といわれる地蔵通商店街の散策をいたしましたが、私の好きな荷風散人の感性に倣って見廻すこの界隈は結構楽しい場所であります。その時、衝動買いした赤ふん2丁は持余して放り出してあるのですが、子供の頃、下町の銭湯で見覚えた当時の男は猿股、越中ふんどし、なかには6尺ふんどしも見かけました。
と、いうこてで越中ふんどし、一丁ふんどしの話、昔の軽口に男のふんどしは「向こうから外れる」、女のふんどしは「くいこみ」が良く使われて居りました。仲間同士の話などで”どうだい儲かったかい?、女のふんどしだい”。”どうだい今日は?、だめだ、ふんどし”。ついでに、恐れ多くもお寺さんも「ふんどし」です、”坊主が時々顔を出す”…と今日でも競輪競馬、宝くじ、パチンコ、そのほか金融商品など相場物が結構ありますが、いじってる御方は「ふんどし」は付けない方がよいかも!…と私も赤ふん2丁が家にあるうちは二度と株に手を出さない事にいたしました。
では、この辺で巣鴨界隈の気になる場所?、どなた様も御存知の江戸怪談話で由緒ある2軒のお寺をお参りいたします。 
とげぬき地蔵の裏手の白山通り(国道17号)を板橋方面へ間もなく東京都中央市場の信号、”豊島市場前”を右折すると突き当りが本妙寺です。このお寺は明治43年に本郷丸山、現在の本郷5丁目から移転した法華宗別院 徳栄山本妙寺ですが振袖火事と呼ばれる明暦の大火の火元になった寺で有名です。この明暦3年(1657)正月18日の大火事では、東海一を誇った江戸城天守閣や本丸も焼失させ、焼死者10万8千人を出した世界最大の火災と云われます。
事の起こりは、……本郷丸山の本妙寺住職が度々の弔いで運び込まれる若い娘の棺を覆う振袖がいつも同じものなので怪しみ調べますと、三年前に恋わずらいで亡くなった娘の愛用の振袖と解りました。 当時は埋葬をすませると棺に掛けた衣類を古着屋に売って墓穴を掘る人の酒手にあてる習慣があります。件の振袖は古着屋に吊るされて、たまたま買った娘が命を落とす悲劇が繰り返されていたのです。
そこで住職は娘達の家族を集め供養のために読経し古着を焼くと燃える振袖はたちまち舞い上がり本堂に火が移り、折からの強風で火炎は江戸八百八町を二日に掛けて焼き尽くした。……
それでは次のお寺は妙行寺です。 白山通り(国道17号)に戻りまして、さらに板橋方面に歩くと都電線路が交差する新庚申塚駅を右折し巣鴨5丁目信号を左折すると法華宗妙行寺さんがあります。奇しくもこの寺も法華宗でして、宗教音痴の私も各地を歩き日蓮さんが結構多かった事に今さら気付きました。
この妙行寺は江戸四谷左門殿町田宮家屋敷の至近の場所、四谷鮫が橋谷町の小高い場所に在りましたが、明治42年に当地に移転。 すでにご推察の”於岩さまの田宮家墓地が境内にあるのです。鶴屋南北の”東海道四谷怪談”、三遊亭園朝の怪談噺”四谷怪談”が舞台、映画、講談などで現代に語り継がれましたが、さすがに天才江戸戯作者や不世出の落語家を見直すばかりです。特に三遊亭園朝の「黄金餅」「死神」「芝浜」「文七元結」や怪談噺の「牡丹燈籠」「真景累ケ淵」「番町皿屋敷」「怪談乳房榎」などを知り、創作力には今さら驚きました。
戻ります。参拝させて頂きました。 実在される田宮家墓地境内に鮫ケ橋谷町から移転の於岩さまの古い五輪塔があり、、幕末慶応年間(1867)講釈師春錦亭が発起して建立した記録があるようです。つらつら考えるに、於岩さんこそ三、四百余年来、歌舞伎、映画、演芸、小説出版に関わる多くの人々に莫大な金銭の功徳を与えてくれた有りがた〜い福の神かも。 この怪談は基本的には鶴屋南北の創作とされますが、全くのフィクションか、実録に近いものかは?…人それぞれのお考えと存じ上げます。……前へ戻る

巣鴨界隈》
(2) 四谷怪談、振袖火事由縁のお寺
(1) おばあちゃんの原宿、地蔵通商店街