[地域][寺社] 向島を歩こう(2)−5 御祈願 向島三囲神社

暑くて外は歩けない、激変寒い? 台風接近と篠をつく雨の終日、穏やかな秋の日和は望めないのでしょうか!。 …では前回の続き、具体的に神社さんを御案内いたします。
● 御商売に成功、益々繁盛したいが間違いの無い神様は!…
● 釣り好き”釣りばか日誌”の浜ちゃんのような人、沢山魚釣りたい人は!…
墨田堤と云えば三囲神社、三囲神社と云えば江戸情緒とされる神社ですが、その昔は田中稲荷、三囲稲荷とも呼ばれておりました。
     
            
三囲神社の有名な御由縁には、神の使いとされる白狐を老婆が呼び出して参詣者の祈願を聞く話とか、芭蕉の弟子宝井其角の有名な句碑があります。御参詣のおりに雨乞い祈祷の農民に請われて発句した”遊ふ田地や田を見めぐりの神ならば(夕立や田を三囲の神ならば)では三囲社と其角の名が更に知れ渡る事に成った様です…雨は確かに降ったと其角自身が認めております。この句の人気の程は、
……夕立や田を三囲の神ならで葛西太郎の洗い鯉、酒がこうじて狐拳ほんに全盛な事じゃぞえ 堀の船宿竹屋の人と呼子鳥……と小唄に向島情緒が唄われております。
御祭神が五穀豊穣の神、稲荷大明神宇迦之御魂命なので神社さんに、ぴったりなお話です。
昨今でも有名な御由緒では、三越デパートの前身越後屋三井呉服店が伊勢から1673年(延宝元年)江戸に進出し、守護神に三囲稲荷を勧請いたしますが、以来三井呉服店を核として関連大企業が創設され、一大企業体に発展して行きました。
勧請した理由は三井と三囲に何か縁を見たのか? 日本橋店の鬼門にあたるのか? はっきりは分りません。
本支店三越デパートの屋上に三囲神社の祠が在るのも知られている話です。
ここで三囲神社の神様のご紹介です。 御主神は”宇迦之御魂命”摂社に大黒天、恵比寿天を祀る”月読社”がありますが、この二神とも越後屋に祀られていた神様を三囲神社境内にお越し戴いたのです。
釣り好きの方、見当は付きましたか? 魚篭(びく)と釣竿を持ち微笑んでいる神様の恵比寿天です。出自も立派な越後屋さんですから大漁は期待できます。
この神社は、向島で震災、戦災を潜り抜けた江戸風情の変わらぬ唯一の文化財でもあり、境内は四度や五度、お参りしても新発見があるでしょう。 お社は万延元年(1860)頃の再建とされ、境内各所には古い石碑、歌碑が林立して江戸文化人との誼の深さを語っております。更に境内に”月読社”と越後屋祖先を祀る顕名霊社があり、霊社は見事な彫刻が特徴です。御本殿の裏は昔の隅田川の版画などで知られる、見事な石鳥居と神社の額(社外墨田土手)が在り、竹屋の渡しからの参道です。境内入り口は、今は閉鎖されております。
境内奥には三井家から移された三柱鳥居は関東東国では見掛けない代物でしょう。 その先一帯が色々なお稲荷さんの祠があり、詳細に御参りすると珍しい物に出会かも。 今回参拝の新発見は御存知三越デパートのライオンのブロンズ像が寄進されており、日本橋本店のより小さめではありました。…あなたのお参りを向島名物、”可愛い狐”が鳥居のそばで待ってます。
目的の御祈願は達せられたと思いますが、私も参詣して気のついたキーワードは「三」です。福を呼ぶ数字かも知れません!…三井、三囲、三越、三柱鳥居、更に、三本の矢、三本柱、三点測量、三角定規、三角関係?これは良くない、最後はライバル?「三菱」で締めくくり。
お詫び…前回の”向島のお江戸 究極の御祈願”について、
今回の記事を書きながら寺社への御祈願と云う心の大切な問題に踏み込んだ事を反省し削除いたしました。 何分私こと、無信仰が信心の様な者の迂闊な考えと気付いた次第です。……次へ続く…  ……前へ戻る

向島を歩こう》 
(5) 世界一のスカイツリーと東武鉄道
(4) 牛島神社の撫で牛談義
(3) 江戸石工文化の魅力
(2) 御祈願 向島三囲神社
(1) 墨田区向島